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相続した不動産に住宅ローンどのような手続きが必要?

2025年3月3日

コラム

相続が開始して遺産を調査すると、借金などの負債が残されていることがあります。今回は、相続した不動産に住宅ローンが残っている場合、どのように対処すればよいか、また住宅ローン完済後はどのような手続きが必要になるかについて説明します。

住宅ローンの残債も相続の対象
まず団体信用生命保険の確認を

 亡くなった人に借金などの負債があった場合、相続人はプラスとマイナスの財産の両方を相続することが原則となっています。相続した不動産に住宅ローンが残っている場合、原則として法定相続人が法定相続分に応じて住宅ローンを承継することになります。この場合、亡くなった人が団体信用生命保険(以下「団信」)に加入しているかどうかで、返済の要否が変わってきます。団信とは、住宅ローンを契約するときに同時に加入する生命保険で、多くの場合はローン契約の条件として団信への加入が必須となっています。

 団信に加入していれば、契約者が死亡したときには、団信から金融機関に住宅ローンの残額と同額の保険金が支払われ、住宅ローンの返済に充当されるため、相続人は住宅ローンを返済する必要がなくなります。これに対し、団信へ加入していなかった場合は、住宅ローンは相続人が引き継ぐことになります。この場合でも、団信の代わりに生命保険に加入していたときは、その保険金を住宅ローンの返済に充てることができます。

 団信や生命保険に加入せずに住宅を相続した場合には、相続人が住宅ローンを返済していく必要があります。相続人に返済の手だてがなく、不動産を売却しても返済できる見込みがないときには、相続放棄を検討するケースがあるかもしれません。ただし、相続放棄をするとマイナスの財産を引き継がなくて済みますが、プラスの財産も一切相続できなくなるため、慎重な判断が必要となります。

 このように住宅ローンが残っていた場合、団信の加入の有無によって対応が異なるため、まず団信の加入の有無を確認することが重要です。

住宅ローンを完済したら
抵当権の抹消登記の手続きを

 住宅ローン契約の際、通常は担保として不動産に抵当権設定登記がなされます。この登記は、住宅ローンを完済しても自動的には抹消されないため、抵当権抹消登記の手続きをする必要があります。その登記手続きをしなくてもそのまま住み続ける分には問題ありませんが、売却やリフォームのための新たな住宅ローンを組む際に支障が生じることがありますので、住宅ローンを完済したら速やかに抵当権抹消登記の手続きをしましょう。

 抵当権の抹消登記手続きの流れは、次の通りです。住宅ローン完済後、金融機関から抵当権抹消登記に関する書類が交付されます。その後、抵当権抹消登記申請書を作成、必要書類を準備し、法務局に持参または郵送して申請します。必要な書類は、登記済証または登記識別情報と金融機関から送付される弁済証書(もしくは解除証書)、抵当権抹消登記の委任状、金融機関の資格証明書などです。抵当権の抹消登記の申請の際は、不動産1個につき1,000円の登録免許税が必要です。

 なお、抵当権抹消登記は、自分で手続きをするほか、専門家である司法書士に依頼することもできます。司法書士に依頼すると、費用はかかりますが、時間や手間がかからず、確実に抵当権抹消登記をすることができます。

 不動産を相続したときは、住宅ローンや保険の状況について確認することが大切です。保険に加入していれば保険金を住宅ローンの返済に充てることができるため、住宅ローンが残っているからといって、早まって相続放棄をしないように注意しましょう。また、住宅ローンを完済したら、忘れずに抵当権抹消登記の手続きを行いましょう。

※この記事は2025年1月時点の記事となります。その後の法改正で対応が異なってくる場合もございますので、気になる方は一度あすか税理士法人までお問合せください。


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