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後継者に事業を承継する際に資産の集中を円滑に行う方法

2024年11月11日

コラム

事業を承継する場合、財産の相続だけでなく、後継者が承継した会社を安定して運営できるように、自社株式などの経営資源も引き継ぐ必要があります。今回は、特に株式会社について、後継者へ円滑に自社株式や事業用資産を集中させる方法について解説します。

生前贈与や遺言による資産集中遺留分や特別受益に注意が必要

 後継者に事業承継をする際、承継後に会社の経営を安定させるためには、会社の重大事項を決定できるよう2/3以上の自社株式を後継者に集中させるのが理想です。その主な方法には❶生前贈与や遺言の活用❷後継者による買い取り❸会社法の活用などがあります。現経営者の財産の多くが自社株式や事業用資産の場合、相続開始後に後継者がこれらの財産を取得するための遺産分割協議が難航することがあります。生前贈与や遺言の活用により、後継者を受取人に指定することで、これらの財産を集中させることができます。

 ただし、この方法には、次のような懸念があります。ほかの相続人から遺留分侵害額を請求され、相当する金銭がない場合に後継者が自社株式や事業用資産などを処分せざるを得なくなる可能性があります。また、生前の贈与について公平性の観点から特別受益とみなされ、後継者が相続によって取得する財産が少なくなる可能性もあります。

生前に後継者へ事業用資産売却買い取り資金調達の支援措置も

 遺留分侵害額請求などを避けるため、生前に後継者へ自社株式や事業用資産を売却する方法を採ることがあります。この場合は後継者に買い取り資金が必要となりますが、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」の認定を受けることで、金融支援措置として事業承継の際に必要となる資金について、日本政策金融公庫などの融資制度を利用することもできます。

 また、相続の際に株式を後継者に相続させる、または後継者以外への分散を防ぐために、株式の譲渡制限、相続人への売却請求制度、種類株式(全部取得条項付株式など)の発行など会社法の制度を活用することもできます。

 生前贈与や遺言の活用で、後継者に資産を集中させることもできますが、遺留分制度などにより妨げられるおそれがあります。後継者が資金難にならないよう、さまざまな制度を活用してスムーズに資産を引き継ぎましょう。

※この記事は2024年10月時点の記事となります。その後の法改正で対応が異なってくる場合もございますので、気になる方は一度あすか税理士法人までお問合せください。


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