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法人の節税対策

2021年8月4日

節税

会社経営を行う上で、節税対策も講じることは大切です。特に業績が好調になってきた場合には、事前に、顧問税理士に相談しておくことが必要でしょう。
節税対策は、自分で調べようとしても細かい知識や専門知識、複雑な計算が求められることも多く、日々の業務に追われて後回しになっている方も多いのではないでしょうか?
また決算前に突然、節税対策をしようと思っても十分な対策が打てなかったり、節税項目で効果が高いものがあっても「時、すでに遅し」となることが多いです。
ここではすぐに実践できる節税対策をご紹介いたします。

法人の節税対策におけるポイント

はじめに、法人の節税対策を実施する際、押さえておくべき3つのポイントがあります。

(1) 節税の効果が持続するのか
(2) いつ実施できるのか
(3) キャッシュが必要か

節税の効果が持続するのか

まず節税の最終的な効果がどうなるのか、ということを把握しましょう。
よくある節税として、保険などによって、まずは損金で計上し、解約時に利益とする「課税の繰り延べ」があります。しかし、実行する際には最終的な効果がどうなるのかも注意する必要があります。
例1:保険の活用により、活用時は一時的に税金を安くすることができても、満期解約時に利益を発生させる際には、再度税金を支払うケースがあります。この場合にはあらかじめ、満期や解約年度に、同程度の損金を発生できるように予定する必要があります。
例2:よく検討されたケースでは、解約金等を利用し「役員退職金」を出すなどのケースです。

いつ実施できるのか

節税にはどのタイミングで実施するのかで効果が大きく異なります。
普段からできること、決算期前に実施できること、次年度以降に実施できること等、実施タイミングにより節税の目的、内容が異なります。

キャッシュが必要か

節税の中には、キャッシュを使う(費用支出をする)ことによる対策もあります。ただし、そもそもキャッシュフローが豊富でない場合は対策によって資金繰りに悪影響が生じる場合もあるので、注意が必要です。

法人が実施できる4つの節税方法

法人の節税は大きく4つに分けられます。
(1) お金が外部流出しない節税
(2) お金は外部流出するが会社の将来につながる節税
(3) お金は外部流出するが会社を守ることになる節税
(4) お金が外部流出するだけの節税

優先順位は(1)~(4)の順に順序だてて実施することが大切です。まれに、優先順位を守らず、「(4)お金が外部流出するだけの節税」から実施される方がいらっしゃいますが、キャッシュを減らすことなく、大きい節税効果がある対策が他にないのかどうか、吟味することをお勧めします。

法人の具体的な節税対策

では、節税対策をする上で、優先順位が最も高い、「(1)お金が外部流出していかない節税」とは、どのようなものがあるのでしょうか?ここでは3例をお伝えいたします。

役員報酬を増やす

すぐに手を付けやすい節税対策は、役員報酬を適切な時期に、適切な設定額に見直すことです。適切な役員報酬とはどのように算出するのか、収支計画と資金繰り計画を立てて、最終利益を想定した上で、妥当な役員報酬を決定するのがいいでしょう。

とはいえ、売上が大幅に落ち込むこともあるため、役員報酬を手堅い額に設定されている方も少なくありません。また中には、税金を考慮せず、適当に決めていらっしゃる方もいるかもしれません。自己流で決定してしまうと税務調査の際に、指摘をうけることもあり得るため顧問税理士に相談して決定することが望ましいでしょう。

役員報酬を決定する際に考慮すべきポイントは、トータルで支払う税金がいくらになるのかをしっかりと計算することです。
「役員報酬にかかる税金は所得税だけだ」と勘違いされている方が多いように思いますが、実際は、それに伴って住民税額や社会保険額も変わってきます。

ゆえに、法人税で払った方が、資金が外部流出しなくて良かった。というケースもあります。会社に生ずる利益は、法人税として払うのか、所得税として支払うのか、トータルで支払う税金を計算した上で、役員報酬額を決定するのがいいでしょう。そうすることで、年間100万円以上の節税対策となるケースもあります。

出張旅費規程を作成し、「出張日当」を活用する

出張が多い会社の場合、旅費規程の対象である「出張日当」をきちんと規定して、支給することで節税対策になります。本来、原則的にも出張手当は経費として認められるものなので「節税」とはニュアンスが微妙なところではありますが、意外と規定を整備しておらず、日当を支給していない企業様が多いのです。

出張日当が節税となる理由は下記の2つです

  ➀ 出張日当は、消費税の課税対象とすることができる。

   出張日当を支給することにより、日当を支払う側である法人は、消費税の節税効果が生じます。

  ➁ 出張日当は個人の所得扱いにならない

   日当を受け取る側である個人にとって、出張日当は給与扱いにはならず、社会保険料や消費税がかかりません。

このように出張日当を経費として支給するためには、出張旅費規程を作成する必要があります。
出張旅費規定とは、会社における出張関連の旅費交通費の取り扱いをまとめた規定です。法人のみが定めることができる規定になっています。

翌期支払いとなった、未払金・未払費用を今期計上にする

一般的に、必要な費用を損金とするためには、決算前に支払いが完了している必要があります。しかし、一定の条件を満たす場合、例外的に未払金、未払費用として、決算後に損金処理することができます。
つまり、まだ支払いが完了していない費用を未払金や未払費用として計上することで、当期利益を減らすことができ、その分節税が期待できるのです。

では、決算後に未払金・未払費用として計上できるようになるための条件とはどのようなものなのでしょうか?主に3つあります。

  ➀ 決算日までに支払いの義務が完了している。
  ➁ 決算日までに支払いの義務に基づく契約をしている。
  ➂ 決算日までに支払うべき金額を計算できる。

回収できない不良債権(売掛金等)を経費に計上する

法人税では、売掛金や貸付金などの債権が回収不能になった時は、損金として経費計上できると定めています。その場合、下記条件が満たされている必要があります。

  ➀ 法律上、金銭債権が切捨てられた場合
   下記のような場合には、法律上、金銭債権が消滅し、債権の全部、または一部が切り捨てられます。
   

  • 取引先の倒産
  • 債務免除通知が内容証明郵便で通知される

  ➁ 事実上、金銭債権が回収不能となった場合
   債務者の資産状況や支払い能力からみて、債券金額を回収できないことが明らかな場合は、貸倒処理をして費用(損金)として計上できます。
   法律上、倒産はしていないが、事実上それに近い状態である場合は該当します。

  ➂ 一定期間取引が停止され、返済がない場合
   

  • 1年以上、売掛債権の入金がない
  • 得意先が遠隔地の場合、売掛債権の残額よりも取立費用の方が高くなる

※この条件は貸付金などの債権は対象外です

法人が節税するために最も重要なこと

法人にとってどのような節税対策があるかをお伝えしました。
しかし、目前の決算における納税額だけを見て、資金繰りを考慮せずに、やみくもに節税対策を実施することはお勧めできません。
法人が節税するために最も重要なこととは、「企業経営にとって本当に大切な節税対策とは何かを見極め、計画的に実施する」ことです。
費用とは、企業経営において、収益を生み出すために貢献するものであることが大事です。ただ納税を減らしたいばかりに経費になるからといって無駄な経費を使って「節税」に振り回されないようにしましょう。

場合によっては、来期の資金繰りを考慮すると、財務体質を強化するために、「節税対策を行わない」と判断することがより望ましい選択になることもあります。

大切な節税対策を見極めるためには、決算対策をしっかりと行うこと、また経営計画を策定することが大切になります。

節税対策には短期的に実施できるものから、中長期的に実施できるものまで実にさまざまです。節税対策の効果を最大化させるという意味でも、中長期的な視野で経営計画を立てるようにしましょう。

法人の節税対策は、あすか税理士法人におまかせください。

あすか税理士法人では、「貴社にとって最適な選択」を第一に、これまでの成功事例や専門家としての知識や経験を活かして、経営者様の最良のパートナーを目指しております。

税理士法人としての税務会計業務は当然のこと、過去会計(試算表説明)のみならず、未来会計(早期の決算予測・目標達成に向けたモニタリング等)を軸に置いた成長を促進させるためにサポートいたします。

※この記事は2021年8月4日時点の記事となります。その後の法改正で対応が異なってくる場合もございますので、気になる方は一度あすか税理士法人までお問合せください。

お問い合わせはこちらから

記事の監修者:あすか税理士法人 加藤知子

税理士・行政書士
課税価格10億円を超える相続相談や「民事信託」を活用した法人化スキーム・連結納税など多様な高度税務案件に従事。租税訴訟の専門家として、7%の勝利といわれる租税訴訟で、完全勝訴1件、一部勝訴2件の実績を誇る。


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