「青色欠損金の繰戻し還付」新型コロナウィルスにより発生した損金は、法人税を還付できるかもしれません 第2回
2021年9月13日
「新型コロナウィルス感染症緊急経済対策」における「税制措置」の中でも、適用できる場合は非常に有益であると思われる、「欠損金の繰戻し還付制度」について、2回に渡りお伝えします。
今回は、第2回として「災害損失欠損金の繰戻し」についてお伝えします。
災害損失欠損金の繰戻しによる還付制度とは
制度概要
災害損失欠損金の繰戻し還付制度とは、災害により災害損失欠損金が生じた法人について、災害のあった日から同日以後1年を経過する日までの間に終了する各事業年度又は災害のあった日から同日以後6月を経過する日までの間に終了する中間期間において生じた災害損失欠損金額を、その災害欠損事業年度開始の日前1年(青色申告書を提出する法人である場合には、前2年)以内に開始した事業年度に繰戻して法人税の還付を受けることができる制度です。
引用:財務省『欠損金繰戻しによる還付の特例』https://www.mof.go.jp/tax_policy/brochure3.pdf
対象法人
災害損失欠損金の繰戻しによる還付制度は、対象法人に制限はありません。青色申告書を提出していない法人、中小企業者等以外の法人も適用対象となります。一方で、青色欠損金の繰戻還付は、青色申告書を提出する中小企業者等のみが適用対象となります。
適用要件
災害損失欠損金の繰戻しによる還付申請のためには次の3要件を満たす必要があります。
➀還付所得が発生する事業年度から災害損失欠損金が発生した事業年度まで継続して確定申告書を提出していること
➁災害損失欠損金が発生した事業年度の確定申告書または仮決算による中間申告書を提出していること
➂の確定申告書または仮決算による中間申告書を提出すると同時に「災害損失の繰戻しによる還付請求書」を提出すること
災害損失欠損金の繰戻しによる還付の計算式
欠損金繰戻しによる還付金の計算式は下記のようになります。
還付金額=還付所得事業年度の法人税額×災害欠損事業年度の災害損失欠損金額÷還付所得事業年度の所得金額
災害損失欠損金の繰戻し申請における注意点
(1)新型コロナウィルスによる影響で生じた、全ての損失が対象にはなりません対象となるもの、ならないものの例は下記になります。
➀該当例
- 飲食業者等の棚卸資産の廃棄損
- 感染者が確認されたことにより廃棄処分した器具備品等(固定資産)の除却損
- 施設や備品などを消毒するために支出した費用
- 感染発生防止のため、配備するマスク、消毒液、空気清浄機等の購入費用
- イベント等の中止により、廃棄せざるを得なくなった商品等(棚卸資産)の廃棄損
➁該当しない例
- 客足が減少したことによる売上減少額
- 休業期間中に支払う人件費
- イベント等の中止により支払うキャンセル料、会場借上げ料、備品レンタル料
➂地方税の還付はできません還付は法人税だけに適用され、地方税である法人住民税や事業税には適用されません。ゆえに、法人税や地方法人税で繰戻還付が適用された場合も、事業税や住民税はその繰戻還付をなかったものとし、その事業年度に生じた欠損金を翌期以降に繰り越すための手続きがそれぞれ必要になります。
➃税務調査還付請求を実施すると、原則として欠損を確認するための調査が入ります。ただし、全ての会社に訪問して帳簿を調査するというのは税務署の業務効率上考えにくく、還付金額に応じて、書面による照合や、電話による聞き取りで完結する場合もあります。
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※この記事は2021年9月13日時点の記事となります。その後の法改正で対応が異なってくる場合もございますので、気になる方は一度あすか税理士法人までお問合せください。